玄鳳のハネ思索書評作品三国志

中国思想を学ぶ人のために

中国の思想を、春秋時代から清朝まで時代を追って解説する書。老荘思想と仏教を中心に、儒教と道教も含めて中国思想(宗教)史の変遷を理解できる。

概して中国は政治への関心が極めて強いため、その思想も勢い政治哲学にならざるを得ない。そもそも漢代に国教と認定された儒教が、経世済民という政治目的を主眼に据えたすぐれて道徳的な思想である。
一方で、インドから西域を経由して渡来してきた仏教も、その世界のあり方を探求した概念的思索は削ぎ落とされ、きわめて中国的な実践的かつ具体的な救済としての手段へと消化されてしまった上で普及した。
あくまでも社会的秩序形成の必要性を前提とした上でそのあり方を問題とした儒教に対して、哲学的な思索を深め個人の生き方を問うたのが老子や荘子たちによる道家の思想である。なお、道教は後漢末期から現れた民間信仰に端を発する宗教であり、老荘思想を教義に採り入れてはいるが、思想的探求を行う道家とは系譜を一にしない。

中国において、哲学的思弁が精錬される素地がないのがよく分かる。結局は政治の追従者に、あるいは単純な経世済民の方向に流れていってしまい、変形した(捻じ曲げられたようにしか私には見えないが)仏教が残念に思える。
そんな中で、老荘思想が哲学性において最強であるのは明白だ。これは西洋哲学にも対抗しうるだけの力があるように、私には思える。特に、六朝時代の政界という俗世から隠遁した者たちの思弁を私は辿りたい。

中国思想を学ぶ人のために

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