玄鳳のハネ思索書評作品三国志

荘子 中国古代の実存主義

サブタイトルの通り、いかにも実存主義的。

単に『荘子』の要旨を説明するのではなく、著者の研究成果としてのより発展させた解釈が示されている。本文中に引用されている書き下し文が、甚だ意訳なのはその端的な現われだろう。実存主義的な見方と相俟って、今の私の嗜好(志向)に適った荘子の解説となっていた。

荘子思想の出発点たる人間・社会への絶望や不安を、彼(荘周)の伝記的形式で書いているのが楽しい。

後書きの文言に仄かに大戦の残影を感じさせる本書は1964年出版。ポストモダンの議論が喧しくなるよりずっと以前のことだ。資本主義に駆動されて経済成長を驀進する当時の日本において、人間の生というものに対して死に至る病を抱える者がどれほどいただろうか。そんなことを想った。

荘子―古代中国の実存主義 (中公新書 (36))

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