ジャンル分けすればファンタジー小説になるが、全体を通して冒険冒険した冒険はあまりない。
悪の権化のような敵に向かって、パーティが一丸となって立ち向かってゆく、という分かりやすいストーリーではない。(というか、ファンタジーに対する私のこのイメージは大部分をドラクエに拠っている、たぶん)
主人公たちが格闘する最大の相手は、死と死を恐れる人間の心である。それゆえ描かれているのは派手な戦闘ではなく、内心の葛藤が中心である。
ファンタジー小説に欠かせない要素である魔法は、作中では必ずしも魅力的で肯定的なものとしては描かれていない。それは自由を捨てて富を選んだ人間のエゴが作り出した代物であり、おそらくこちら側の世界における科学技術を暗に指しているのだろう。自然と決別し自然に克つことで発展してきた西洋的発想に疑問を呈し、受容すること統合することを主題とする。そういう意味で東洋的(道教的)と言えるかもしれない。
東洋的といえば、言霊が非常に大きなテーマになっている。言葉を操るのは力を持っていることと同じ、真の名を呼ぶことはその人を支配しうることに等しい、ゆえに人々が諱とは別に字を使っているというのが素敵だ。
非常に観念的な物語である。最近の私の思考とシンクロする部分もあり、面白い作品だった。だが、子どもがエンターテイメントとして読んで果たして楽しめるのか、と余計な心配をしたりする。
3巻と4巻との間に出版のブランクがあるが、その間に作者の関心事が変遷しているのが感じられるのも興味深い。
なお、原作者には頗る不評だったというジブリの映画は未見。
この後、DVDを借りて観る予定。気が向いたらまた感想を書くことにしよう。
と言いつつ、全く観る気配がないorz
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